消費者物価指数とインフレ率の推移【先進国・新興国】
消費者物価指数とは小売段階での財・サービスの物価の動きを示す指数です。
日本の金融政策の中枢を担っている中央銀行の日本銀行(以下、日銀)は、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」として金融施策を講じています。
消費者物価(物・サービスの価格)が上昇することをインフレ(インフレーション(inflation))と言いますが、なぜ日銀は「物価安定の目標」としてインフレ率を前年比2%としているのでしょうか。
インフレについての記事はこちら
消費者物価指数の上昇により、実質賃金は低下しますが、経済全体にはどのような影響を与えるのでしょうか。
また、日本を含めた先進国・新興国の
- インフレ率
- 消費者物価指数
それぞれの推移はどのようになっているのでしょうか。
先進国・新興国のインフレ率と消費者物価指数の推移
先進国代表として
- 日本
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
の4ヶ国と新興国代表として
- 中国
- インド
に注目していきます。
先進国のインフレ率と消費者物価指数
- 日本
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
それぞれの国の
- 前年比でのインフレ率(出典・国際通貨基金(IMF))
- 2010年を物価水準100とした場合の物価推移(出典・国際通貨基金(IMF))
のグラフを見ていきます。
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
新興国のインフレ率と消費者物価指数
- 中国
- インド
それぞれの国の
- 前年比でのインフレ率(出典・国際通貨基金(IMF))
- 2010年を物価水準100とした場合の物価推移(出典・国際通貨基金(IMF))
のグラフを見ていきます。
中国
インド
先進国と新興国のインフレ率と消費者物価指数の比較
新興国は先進国と比較すると、慢性的に物・サービスが不足している状態が多いです。
新興国では、インフラが都市部を含めて整備できているわけではなく
- 道路
- 商業ビル
- 住宅施設 等々
の開発余地が大きいため、必然的に物・サービスの需要は右肩上がりの状態です。
- 物・サービスに対する需要増
- 需要を満たす為の供給が必要
- 供給に対する資金が必要
- 資金需要が活性化
供給サイドは仕入価格が多少上がろうとも需要を満たす為、物・サービスの価格は上昇します。
この形のインフレをデマンドプル(demand-pull)型のインフレと言います。
デマンドプル(demand-pull)型についてはこちらの記事
デマンドプル(demand-pull)型のインフレにより、消費者物価指数は上がります。
物・サービスを供給するため多額のお金が必要となり、お金に対する需要が増え、銀行の貸出金利が上がっても、供給サイドはお金を借ります。
これが、インフレ(物価上昇)と金利上昇が連動する理由です。
一方、先進国は物・サービスに対して「満たされた状態」ですので、
- 消費意欲
- 資金需要
が少ないため、インフレ率は上がりづらいです。
先進国では新興国のような物価上昇は期待出来ませんが、自国の経済成長を促すため、政府と中央銀行が、色々な施策を打ち出して低位ながらもインフレ率を上昇させようとしています。
日本ではインフレが起きたことはないのでしょうか。
知っている方も多いかと思われますが、 日本では戦後1955 〜 1973年の約20年にわたり,高度成長期と呼ばれた時期がありました。
経済成長率(実質)年平均は10%前後の高い水準で成長を続けました。
その時期の日本の
- 前年比でのインフレ率
- 1998年を物価水準100とした場合の物価推移
を見てみましょう。
日銀の金融政策通りにインフレが前年比2%を20年間達成出来たなら、2040年には今の物価は1.5倍の水準になっています。
つまり、日本円の価値が3分の2になっているという事になります。
資産運用をせず、普通・定期預金しかしていな方は、20年後には所有財産(普通・定期預金)の価値が現在と比較して3分の2になっている可能性があります。
勿論、インフレ率前年比2%が20年続くかも分かりませんし、逆にデフレになって、所有財産(普通・定期預金)の資産価値が上がっている可能性もあります。
以上、先進国・新興国の
- インフレ率
- 消費者物価指数
それぞれについての説明でした。
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