選挙とは?日本の選挙制度・選挙種類と選挙方法について
選挙とは、投票によって首長や議員、団体の代表者や役員を選び出すことを指します。
選挙には、
- 生徒会長を決める学生間での選挙
- 自治体の首長を決める選挙
- 国政選挙 等々
老若男女問わず色々な種類の選挙があります。
選挙は所属組織の代表者を選び、所属組織全員の意見を集約し、組織の安定・飛躍を図るための手段です。
この記事では、その選挙に対しての知識を広げるため
- 選挙権と被選挙権
- 選挙の種類と方法
それぞれに分けて解説していきます。
選挙権と被選挙権
- 選挙権・・・代表を選挙で選ぶことのできる権利
- 被選挙権・・・選挙に出馬して代表になれる資格
選挙権 | 被選挙権 | |
必要な条件 | ||
衆議院議員 | 日本国民で満18歳以上 | 日本国民で満25歳以上 |
参議院議員 | 日本国民で満30歳以上 | |
都道府県知事 | ・日本国民で満18歳以上 ・ 3カ月以上その都道府県内同一市区町村に住所のある者 | 日本国民で満30歳以上 |
都道府県議会議員 | ・日本国民で満25歳以上 ・その都道府県の選挙権あり |
|
市区町村長 | ・日本国民で満18歳以上 ・ 3カ月以上その市区町村に住所のある者 | 日本国民で満25歳以上 |
市区町村議会議員 | ・日本国民で満25歳以上 ・その市区町村の選挙権あり |
但し、
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
- 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
- 公職にある間に犯した収賄罪により刑に処せられ、実刑期間経過後5年間(被選挙権は10年間)を経過しない者
- 選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行猶予中の者
- 公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪により、選挙権、被選挙権が停止されている者
- 政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、 被選挙権が停止されている者
は選挙権・被選挙権の権利はありません。
選挙の種類と方法
日本における選挙の種類は大きく二つに分けられます。
一つは「どの公職の人を選ぶか」という分類です。
- 国会議員
- 都道府県知事
- 都道府県議会議員
- 市区町村長
- 市区町村議会議員 等々
もう一つは「選挙を行うべき理由(選挙事由)」での分類です。
- 任期満了
- 議会の解散
- 議員の欠員 等々
があります。
衆議院議員総選挙
衆議院議員総選挙とは、衆議院議員の全員を選ぶために行われる選挙のことです。
衆議院の選挙権・被選挙権 | |
選挙権 | 被選挙権 |
日本国民で年齢満18年以上の者 | 本国民で年齢満25年以上の者 |
選挙方式(小選挙区比例代表並立制) | |
小選挙区制 | 比例代表制 |
衆議院議員の定数(465人) | |
選出 | 定数 |
小選挙区選出議員 | 289人 |
比例代表選出議員 | 176人 |
衆議院議員の任期 | |
任期満了(4年) | 衆議院の解散 |
衆議院議員総選挙の選挙方式
衆議院議員総選挙では、
- 小選挙区制
- 比例代表制
を併用する小選挙区比例代表並立制の選挙方式が採用されています。
選挙方式(選挙制度)には小選挙区比例代表並立制以外にも様々な類型があります。
多数代表制
選挙区内で多数票を獲得した候補者が選挙区内の議席を全て獲得する制度。
選挙区の定数は1議席の制度が多いですが2議席以上の制度もあります。
- 大政党は得票率を上回る議席率となることが多く安定政権を形成しやすい
- 小政党は得票率を下回る議席率となることが多く少数意見が議席に反映されづらい
制度になっています。
多数代表制には、
- 単純小選挙区制
- 小選挙区二回投票制
- 選択投票制
- 完全連記制
- 政党ブロック投票制
があります。
単純小選挙区制
選挙区の定数は1議席であり、選挙人は1人の候補者を選んで投票します。
候補者の中で最も多くの票を獲得した候補者が当選となります。
過半数の得票は必要としません。
小選挙区二回投票制
選挙区の定数は1議席であり、選挙人は1人の候補者を選んで投票します。
原則として、過半数の票を獲得した候補者がいれば当選となります。
該当する候補者がいない場合は、2回目の投票が行われ、最も多くの票を獲得した候補者が当選となります。
選択投票制
選挙区の定数は1議席ですが、選挙人は各候補者に1,2,3…と順位を付して投票します。
- 第1順位票の集計で過半数の票を獲得した候補者がいれば当選
- 該当する候補者がいない場合は、最下位得票者の票を取り崩し、第2順位が付された候補者に移譲
- 移譲票によって過半数の票を獲得する候補者がいれば当選
それでも当選者がいない場合は、過半数の票を獲得する候補者が現れるまで、下位得票者から票の移譲を繰り返します。
完全連記制
選挙区の定数は2議席以上で、選挙人は定数分の候補者を選んで投票します。
得票順に定数までの候補者が当選となります。
政党化が進んでいる場合、
- 各政党が定数分の候補者を擁立
- 定数分の全ての票を自党の候補者に投票するように呼び掛け
によって、第1党が議席を独占することが多くなります。
政党ブロック投票制
選挙区の定数は2議席以上で、
- 各政党は定数分の候補者を登載した名簿を提出
- 選挙人は1つの政党名簿を選んで投票
- 最も多くの票を獲得した政党名簿に登載された候補者の全てが当選
比例代表制
比例代表制は各党の得票に応じて議席を配分する制度です。
選挙区の定数は2議席以上です。
比例代表制のメリットは
- 得票率と議席率がほぼ比例するため、少数意見も議席に反映されやすい
一方、デメリットは
- 1つの政党で過半数の議席を占める可能性が少なく、連立政権が常態化しやすい
比例代表制には、
- 名簿式比例代表制
- 単記移譲式比例代表制
があります。
名簿式比例代表制
政党が候補者名簿を提示して、選挙人が各党の候補者名簿の中から1つの名簿を選択して投票する制度です。
名簿順位を予め政党が定め、
- 選挙人がその順位を変えられない・・・拘束名簿式
- 候補者に対する優先投票によって順位に影響を与えることができる・・・非拘束名簿式
- 名簿に登載されていない者に対して投票することもできる・・・自由名簿式
があります。
単記移譲式比例代表制
選択投票制と同様に、選挙人は各候補者に1,2,3…と順位を付して投票します。
- 第1順位票の集計で当選基数8以上の票を獲得した候補者がいれば当選
- 当選者が定数に満たない場合・・・当選者の得票から当選基数を引いた票(剰余票)を第2順位が付された候補者に移譲
- 移譲票によって当選基数に達する候補者がいれば当選
となります。
この作業を繰り返しても定数に満たない場合は、選択投票制と同様に当選者数が定数に達するまで最下位得票者の票を他の候補者に移譲する手続を繰り返します。
- 選挙区の定数が2議席以上である点
- 票の移譲を最下位得票者からだけでなく、当選者の剰余票からも行う点
です。
票の移譲により、結果的に各政党の得票率と議席率が比例的になるため、比例代表制の一種とされています。
混合制
混合制は多数代表制と比例代表制を組み合わせた制度になります。
多数代表制と比例代表制のもつ短所を双方の制度の長所によって補うことを目的としています。
- 単純小選挙区制
- 名簿式比例代表制
を組み合わせることが多くなります。
通例、選挙人は
- 多数代表制
- 比例代表制
に対して計2票を行使しますが、多数代表制における候補者への投票を、比例代表制においてはその候補者の属する政党への投票と読み替えて1票のみ行使する場合もあります。
混合制には
- 併用制
- 並立制
があります。
併用制
各政党への議席配分には比例代表制を用います。
従って、
- 得票率
- 議席率
の比例性は高くなります。
多数代表制の結果は、原則として、各党の配分議席数には影響を及ぼさず、党内の誰が当選者となるかを決める過程で用いられます。
並立制
多数代表制と比例代表制の選挙をそれぞれ行い、両者の合計が各党の獲得議席となります。
両者の議席数の割合によって異なりますが、併用制に比べて、全体として得票率と議席率の比例性はそれほど高くありません。
日本の衆議院で採用されている小選挙区比例代表並立制はこの制度に分類されます。
参議院議員通常選挙
参議院議員通常選挙は参議院議員の半数を選ぶための選挙の事です。
参議院議員は3年ごとに半数が入れ替わるよう憲法で定められていますので、3年に1回、定数の半分を選ぶことになります。
参議院の選挙権・被選挙権 | |
選挙権 | 被選挙権 |
日本国民で年齢満18年以上の者 | 日本国民で年齢満30年以上の者 |
選挙方式 | |
選挙区74議席 | 比例代表50議席 |
参議院議員の定数(248人) | |
選出 | 定数 |
選挙区選出議員 | 148人 |
比例代表選出議員 | 100人 |
参議院議員の任期 | |
解散なし | 任期満了(6年)によるものだけ |
地方選挙
地方選挙には
- 一般選挙(地方の議会)
- 地方公共団体の長の選挙
- 設置選挙
があります。
一般選挙(地方の議会)
一般選挙とは、都道府県や市区町村(地方公共団体)の議会の議員の全員を選ぶ選挙のことです。
- 任期満了(4年)
- 議会の解散
- 議員または当選人のすべてがいなくなった場合
に行われます。
地方公共団体の長の選挙
都道府県知事や市区町村長など地方公共団体の長を選ぶための選挙です。
- 任期満了(4年)
- 住民の直接請求(リコール)による解職
- 不信任議決による失職、死亡、退職、被選挙権の喪失による失職の場合
に行われます。
設置選挙
設置選挙とは新しく地方公共団体が設置された場合に、その議会の議員と長を選ぶために行われる選挙です。
特別の選挙(国政/地方選挙)
特別の選挙(国政/地方選挙)には、
- 再選挙
- 補欠選挙
- 増員選挙
があります。
再選挙
再選挙は選挙後、
- 必要な数だけの当選人が決まらない
- 投票日の後で当選人の死亡、当選の無効があったなどの場合
- 繰上当選(繰り上げる場合がある)などによっても当選人がなお不足する場合
に行われる選挙です。
補欠選挙
補欠選挙は
- 選挙の当選人が議員となった後に死亡や退職
- 繰上当選によっても議員の定数が不足する場合
に行われる選挙です。
増員選挙
増員選挙は議員の任期中に、議員の定数を増やして行われる地方公共団体の議会の議員の選挙です。
任期が終わる6カ月以内に当該選挙を行うべき事由が生じた場合には議員の数が定員の3分の2に達しなくなったときを除いて、行わないこととされています。
以上、
- 選挙権と被選挙権
- 選挙の種類と方法
の解説になります。
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