記憶装置とは?記憶装置の種類を分かりやすく説明

記憶装置とは?記憶装置の種類を分かりやすく説明




記憶装置とは?記憶装置の種類を分かりやすく説明

コンピュータは複雑な処理を出来るデジタル装置に見えますが、コンピュータ内部の動作自体は単純作業の繰り返しです。

  1. 保存してあるプログラム内の命令・データをメモリからCPUに読込
  2. CPUがプログラム内の命令・データを処理・実行
  3. CPUが書き出したデータをメモリに保存

となります。

コンピュータ内部の動作

CPUが書き出したデータをメモリに保存するのは一時的で、

  • 電源の有無
  • 補助的記憶装置の種類 等々

条件によってコンピュータ内部のデータ保存場所(記憶装置)は変わります。

一つのコンピュータ内部には複数の記憶装置が存在します。

何故、コンピュータ内部には複数の記憶装置が存在するのでしょうか。

理想は一種類の小型で最高速の記憶装置で構成される事が望ましいですが、

  • コンピュータ内部の物理的な実装の制約
  • レイテンシ
  • スループット
  • インタフェースの限界 等々

の事情により、

  • 小容量・高速の記憶装置
  • 大容量・低速の記憶装置

を組み合わせて、コンピュータ内部の記憶装置を構成していく必要があります。

記憶階層

レイテンシ(latency)とは日本語で、

  • 隠れていること
  • 潜伏

という意味です。

コンピュータ界では、デバイスに対してデータ転送等を要求、その結果が返送されるまでの不顕性の高い遅延時間のことです。

レイテンシは、

  • レジスタ・キャッシュメモリ・メモリ(主記憶装置)の場合・・・ナノ秒単位
  • HDD・SSD(補助記憶装置)の場合・・・ミリ秒単位

読み取りと書き込みでレイテンシが異なる場合もあります。

スループット(Throughput)とは日本語で、

  • (一定期間内に処理される)原料の量
  • 情報量

という意味があります。

特にコンピュータ界では、単位時間当たりの処理能力(読み書き)のことを指します。

通常はメガバイト毎秒(MB/sec)等の単位を使います。

レイテンシと同様、読み取りと書き込みで異なる場合もあります。

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この記事では、記憶装置の

  • 特性
  • 技術
  • 構成

についてそれぞれ説明していきます。

記憶装置の特性

記憶装置の特性

記憶装置の特性として

  • 揮発性と不揮発性
  • 動的と静的
  • 書き換え可能か否か
  • アクセス方法

があります。

揮発性と不揮発性


揮発性記憶装置不揮発性記憶装置
電力の有無情報を保持するには電力供給が必要電力供給無しでも格納した情報を保持
記憶装置・キャッシュメモリ
・メモリ(主記憶装置)
HDD・SSD 等々(補助記憶装置)
特徴 ・キャッシュメモリ
・メモリ(主記憶装置)
には高速性が求められる揮発性が適当
長期間の記憶に適当

記憶装置が揮発性と不揮発性

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動的と静的

動的(ダイナミック(Dynamic))静的(スタティック(Static))
記憶方式コンデンサの充電状態を使用論理回路で構成されデータ
リフレッシュ動作(再書き込み)コンデンサの自然放電によるデータ消失を防ぐために定期的に必要必要なし
bitあたりのコストSRAMに比べて回路が単純で低コストトランジスタ数やその配線がDRAMと比べ複雑で高コスト
記憶装置DRAMSRAM

記憶装置が動的と静的

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書き換え可能か否か

特性読み書き可能読み取り専用
RAM
(Random Access Memory)
ROM
(Read Only Memory)
特徴情報をいつでも上書き可能媒体製造時に情報を記憶
記憶装置・DRAM
・SRAM
・CD-ROM
特性一度だけ書き込み可能リライタブル
WORM
(Write Once Read Many)
ReWritable
特徴製造後に一度だけ書き込むことが可能読み出しは自由、上書きは自由に出来ない
記憶装置・PROM
(Programmable ROM)
・CD-R
(Compact Disc-Recordable)
・EPROM
(Erasable Programmable ROM)
・フラッシュメモリ
・CD-RW
(Compact Disc-ReWritable)

記憶装置が書き換え可能か否か

アクセス方法

ランダム・アクセスシーケンシャル・アクセス
Random・access
Random・・・無作為な、手当たり次第な
Sequential・access
Sequential・・・連続的な、順序通りな
特徴任意の位置へのアクセスを一定の時間で実行決められた先頭位置からしかアクセス出来ない
記憶装置・キャッシュメモリ
・メモリ(主記憶装置)
磁気テープ

記憶装置のアクセス方法

記憶装置の技術

記憶装置の技術

記憶装置で応用されている技術には

  • 半導体
  • 磁気
  • 光学

があります。

半導体

半導体記憶装置は、半導体による集積回路【IC】に情報を格納します。

半導体記憶装置は

  • トランジスタ
  • コンデンサ 等々

で構成されており、

  • 揮発性記憶装置・・・DRAMが多用
  • 不揮発性記憶装置・・・フラッシュメモリのシェアが続伸

があります。

半導体記憶装置

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磁気

磁気記憶装置は、

  • ディスクやテープの表面に塗布された磁性体の磁化パターンを変化させることで情報を記憶
  • 不揮発性
  • 情報へのアクセスに1つまたは複数の読み書き用ヘッドを使用

という特徴を持っており、

  • ディスクドライブ・・・
    • フロッピーディスク
    • ハードディスクドライブ(HDD)
  • 磁気テープ装置

があります。

磁気記憶装置

光学

光学記憶装置は、

  • 円板表面の性質を変化させることで情報を格納
  • 半導体レーザーを表面に当てて反射光を測定することで情報を読み取る
  • 不揮発性

という特徴を持っており、

  • 読み取り専用媒体
  • ライトワンス媒体
  • リライタブル媒体

があります。

読み取り専用媒体ライトワンス媒体リライタブル媒体
表面の変化が永久的なもの一度だけ変化させられるもの何度も書き換え可能なもの
ROM(Read Only Memory)WORM(Write Once Read Many)ReWritable
・CD-ROM
・DVD-ROM
・BD-ROM
・CD-R
・DVD-R
・BD-R
・CD-RW
・DVD-RW
・BD-RE

紙記憶装置は、

  • 情報は紙に穴を開けることで記録
  • 機械的または光学的に穴の位置を知ることで情報を読み取る

紙による記憶媒体としては、

  • 紙テープ
  • パンチカード

があります。

パンチカード

記憶装置の構成

記憶装置の構成

2013年ミドルシーズン Mac Book Air 11インチ モデルのハードウェアを見てみましょう。

  • CPU・・・ダブルコア・周波数 1.3 GHzのCore i5
  • 2次キャッシュメモリ・・・512 KB
  • 3次キャッシュメモリ・・・3 MB
  • メモリ(主記憶装置)・・・4 GB
  • SSD(補助記憶装置)・・・128 GB

キャッシュメモリ

メモリ(主記憶装置)

記憶装置

CPU内部の演算情報を格納する「レジスタ」という記憶装置があります。

レジスタ

一つのレジスタに格納できる情報のサイズはCPUの種類によって異なります。

大きなビット(Bit)数のレジスタを持つCPUほど,同時に演算できる情報のサイズが大きくなり,プログラムの実行速度が速くなります。

レジスタ

上記に「大きなビット(Bit)数のレジスタを持つCPUほど,同時に演算できる情報のサイズが大きくなり,プログラムの実行速度が速くなります。」と書きましたが、実際はCPUの中のレジスタのビット数によって、扱えるメモリ(主記憶装置)の空間の大きさには限界があります。

CPU 32 bit・・・ 2 ^ 32 = 4,294,967,296(4G(ギガ)Byte)

-> 32 Bit・アドレスのCPUが扱えるメモリ(主記憶装置)空間の大きさは、4G Byte

4G Byteを超えるメモリ(主記憶装置)を32ビット・CPUが搭載しても、4G Byteを超える部分は直接的には扱えません。

CPU 64 bit・・・2 ^ 64 = 1.8446744e+19(16E(エキサ)Byte)

-> 64 Bit・アドレスのCPUが扱えるメモリ(主記憶装置)空間の大きさは、16 E Byte

現在の、64 Bit・アドレスのCPUは、CPU内部でアドレスの幅を40 bitに狭めることによってメモリ(主記憶装置)空間を1T Byteに縮小しています。

CPU 40 bit = 2 ^ 40 = 1.0995116e+12(1T(テラ)Byte)

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以上、記憶装置の

  • 特性
  • 技術
  • 構成

についての説明になります。

コメント

  1. […] 記憶装置も暗記する項目が非常に多いです。 こちらのサイトでは図解も含めて詳しく解説されています。細かすぎる解説については読み飛ばしていただいて問題ないです。 あくまでテキストで赤字の箇所を覚えつつ、図解を見ながらイメージで記憶する、という使い方になります。 […]