クライアントサーバモデルとP2Pモデルの違い
私たちがインターネットを通じたサービスを利用する際のコンピュータネットワーク・アーキテクチャでは
- クライアントサーバ・モデル
- P2Pモデル
どちらかのモデルが採用されています。
アーキテクチャ(architecture)とは
- 建築様式
- 構造
- 構成
という意味です。
コンピュータ分野では
- 基本設計
- 設計思想
を指します。
つまり、コンピュータネットワーク・アーキテクチャとは、
- コンピュータネットワーク・・コンピュータ同士をつなぐ
- アーキテクチャ・・・基本設計
複数のコンピュータを接続する基本設計ということになります。
この記事では、クライアントサーバ・モデとP2Pモデルを比較し、それぞれの特徴について説明していきます。
クライアントサーバ・モデルとP2Pモデル
コンピュータネットワーク・アーキテクチャの代表格である
- クライアントサーバ・モデル
- P2Pモデル
の決定的な違いは、「コンピュータネットワーク・アーキテクチャが中央集権的か否か」という部分になります。
ネットワーク・アーキテクチャ上の中央集権的とは、クライアント・サーバ・モデルでは
- サーバ(server)・・・サービスを供給する側
- クライアント(client)・・・サービスを授受する側
と主従関係がはっきりとしているのに対して、P2Pモデルでは
- サーバ(server)
- クライアント(client)
の両方の役割を担うノードがネットワークに参加している他のノード同士で対等に通信をしています。
- 結び(目)
- 【植物, 植物学】節
- 【天文】交点 等々
の意味で使われます。
コンピュータ・ネットワーク界でのノード(Node)とは、ネットワークの
- 接点
- 分岐点
- 中継点 等
を指します。
具体的には、コンピュータ・ネットワークを構成する
- モデム・ハブ・ブリッジ・スイッチングハブ等のデータ通信機器
- IP電話・プリンタ・ホストコンピュータ(ルータ・ワークステーション・サーバ等々)等のデータ端末装置
- ノートパソコン・スマートフォン等々の端末装置
といった機器のことを指します。
対等なコンピュータ・ネットワークでのノードは
- サーバ(server)・・・サービスを供給する側
- クライアント(client)・・・サービスを授受する側
両方の機能を併せ持つという意味で、サーバント(servent)という呼ばれ方もします
サーバに関する記事はこちら
クライアントサーバ・モデルとP2Pモデルの比較
- クライアントサーバ・モデル
- P2Pモデル
それぞれの
- システム拡張性
- 情報の所在
- 耐障害性
は下記の通りです。
クライアント・サーバ・モデル | P2P・モデル | |
---|---|---|
モデル | 中央集権型 | 自律分散型 |
システム拡張性 | 利用者規模に合わせたシステム増強 | 柔軟なスケーラビリティ |
情報の所在 | サーバへの情報の集中 | 情報はネットワーク上に遍在 |
耐障害性 | サーバへのリスクの集中 | 障害時に他ノードによる代替 |
また、
- クライアント・サーバ
- ピュア・P2P
- ハイブリッド・P2P
それぞれの
- ネットワーク
- セキュリティ
- 端末
- サーバ
- 管理・運用
の観点から比較して見ます。
P2Pモデルの
- ピュア・P2P
- ハイブリッド・P2P
それぞれの違いは下記の通りです。
ピュア・P2P | ハイブリッド・P2P | |
---|---|---|
概要 | 検索・データ転送などは全てP2P ・自律分散型システム ・各ノードはメッシュ状に接続 ・検索は隣接ノードを経由 ・検索結果に確実性がない ・データ転送が完了しない場合がある | データ・・・インデックスサーバが保持 データ検索・・・各ノードがインデックスサーバに問合せ データ転送・・・P2Pで実行 |
メリット | ・スケーラビリティが高い ・自律分散型であり耐障害性が高い ・アドホック性が高い | システムの管理・制御が可能 |
デメリット | 大規模化に伴い、ネットワークへの検索負荷が増大 | データ検索はクライアント・サーバ・モデルで ・システムの耐障害性が低い ・スケーラビリティは、ピュアP2Pに劣る |
クライアント・サーバ | ピュア・P2P | ハイブリッド・P2P | 概要 | ||
---|---|---|---|---|---|
ネットワーク | 検索による負荷 | ○ | × | ○ | ピュア・P2P・・・ 隣接ノードの数により検索負荷が指数的に増大 |
検索の応答速度 | ピュア・P2P・・・ 応答速度が不安定 |
||||
検索の確実性 | ピュア・P2P・・・ 情報がネットワークに存在しても発見できない可能性 |
||||
通信による負荷 | △ | ○ | ○ | クライアント・サーバ・・・ サーバ側ネットワークに負荷が集中する可能性 |
|
耐障害性 | △ | ○ | △ | クライアント・サーバ・ハイブリッド・P2P・・・ サーバ・収容ネットワークの障害により、サービスが停止 |
|
セキュリティ | ウィルス対策 | ○ | × | △ | ・P2P・・・ ウィルスの急速な拡大の可能性 ・クライアント・サーバ・・・ サーバ側での防御、最新ワクチン管理が可能 |
アクセスログ | ○ | × | ○ | ピュア・P2P・・・ アクセスログを残せるが、サーバが必要 |
|
システムの廃止 | ピュア・P2P・・・ 一旦稼働したシステムの停止・廃止は困難 |
||||
端末 | 端末への負荷 | ○ | △ | ○ | ピュア・P2P・・・ 他のP2P通信を中継することがあるため負荷が発生 |
サーバ | サーバへの負荷 | × | – | △ | ハイブリッドP2P・・・ 認証・検索のみの負荷 |
初期・運用コスト | クライアント・サーバ・・・ ユーザ数増加に伴う増設が必要 |
||||
管理・運用 | ユーザ管理 | ○ | × | ○ | クライアント・サーバ・ハイブリッド・P2P・・・ サーバに実装可能 |
コンテンツ管理 | ピュア・P2P・・・ 流通したデータを削除出来ない |
以上、クライアントサーバ・モデルとP2Pモデルの比較・特徴についての説明になります。
それぞれについて詳細を知りたい方は下記の記事を参照下さい。
クライアントサーバ・モデルに関する記事はこちら
P2Pモデルに関する記事はこちら
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