【初心者向け】P2Pとは?P2P通信の仕組みと種類
P2P(ピートゥーピー)とは、Peer – to(2)- peer(ピア・ツー・ピア)(以下、P2Pと呼ぶ)を略した用語です。
peer(ピア)は英単語で、(年齢・地位・能力などが)同等の者という意味です。
P2Pにおけるpeer(ピア)は、
- 対等の立場で通信を行うノード
- 対等の立場で通信を行う通信相手
を指します。
ノード(Node)は邦訳すると
- 結び(目)
- 【植物, 植物学】節
- 【天文】交点 等々
の意味で使われます。
コンピュータ・ネットワーク界でのノード(Node)とは、ネットワークの
- 接点
- 分岐点
- 中継点 等
を指します。
具体的には、コンピュータ・ネットワークを構成する
- モデム・ハブ・ブリッジ・スイッチングハブ等のデータ通信機器
- IP電話・プリンタ・ホストコンピュータ(ルータ・ワークステーション・サーバ等々)等のデータ端末装置
- ノートパソコン・スマートフォン等々の端末装置
といった機器のことを指します。
つまり、P2Pとは複数の端末間で通信を行う際のコンピュータのネットワーク・アーキテクチャの一つという事になります。
アーキテクチャ(architecture)とは
- 建築様式
- 構造
- 構成
という意味です。
コンピュータ分野では
- 基本設計
- 設計思想
を指します。
つまり、コンピュータネットワーク・アーキテクチャとは、
- コンピュータネットワーク・・コンピュータ同士をつなぐ
- アーキテクチャ・・・基本設計
複数のコンピュータを接続する基本設計ということになります。
コンピュータのネットワーク・アーキテクチャでは、P2Pに対置される用語としてクライアントサーバ・モデルがあります。
クライアントサーバ・モデルに関する記事はこちら
この記事では、初心者向けにP2Pの
- 仕組み・特徴
- 種類
について、それぞれ説明していきます。
P2Pの仕組み・特徴
日本や韓国・タイ等々の国で頻繁に利用されているスマートフォン・アプリのLINEもP2P通信のネットワーク技術が使われています。
そんなP2Pの
- 仕組み
- 特徴
を見ていきましょう。
P2Pの仕組み
ネットワーク・アーキテクチャ上、
- クライアントサーバ・モデル
- P2Pモデル
は、それぞれ対置される関係にあるため、P2Pモデルの仕組みを説明する際は、クライアントサーバ・モデルと比較する事で、P2Pモデルの理解が深まります。
クライアントサーバ・モデルは、ネットワークに接続されたコンピュータに対し
- クライアント
- サーバ
とそれぞれ立場・機能を分離しており、一般的に、多数のクライアントに対してサーバが一つです。
クライアントサーバ・モデルでは、
- クライアントはサーバとだけ通信が可能
- クライアントが他のクライアントと通信する為にはサーバを仲介
一方、P2Pモデルは、
- ネットワークに接続されたコンピュータ同士がノードとして対等の立場、機能で直接通信
- インターネット基盤であるIPネットワークはIPアドレスさえ分かればどのノードとも通信可能
という仕組みになっています。
クライアント・サーバ・モデル | P2P・モデル | |
---|---|---|
モデル | 中央集権型 | 自律分散型 |
システム拡張性 | 利用者規模に合わせたシステム増強 | 柔軟なスケーラビリティ |
情報の所在 | サーバへの情報の集中 | 情報はネットワーク上に遍在 |
耐障害性 | サーバへのリスクの集中 | 障害時に他ノードによる代替 |
P2Pの特徴
P2Pモデルの代表的な特徴は大きく分けて
- 非中央集権
- サーバ・コスト削減
- 耐障害性
- スケーラビリティ
の四つになります。
特徴 | 概要 |
---|---|
非中央集権 | サーバ依存せずにノード同士が対等な立場で直接通信を行える |
サーバ・コスト削減 | サーバを必要としない環境を築くことで、 ・サーバに起因するコスト(機器、管理者の教育、運用・保守) ・サーバ依存が集中することによる管理の負荷 ・資源集中に伴うリスク 等々 を削減・軽減可能 |
耐障害性 | ネットワークに接続された1つのノードに障害が起きても、それ以外のノードに影響は及びにくく、分散化による情報の消失・損傷リスクが軽減され、高い耐障害性が実現 |
スケーラビリティ | ネットワーク利用者の数が急増しても、システムの規模(回線、ハードウェア)増加の必要無し。 また、ネットワークでの常時接続利用者のノードの ・CPU処理能力 ・ディスク容量 等々 の余剰計算機資源を資源として有効に利用可能 |
P2Pの種類
P2Pモデルのネットワーク構成は目的によって
- 情報検索方式による類型
- データ送受信方式による類型
- P2Pアプリケーションによる類型 等々
と異なります。
情報検索方式による類型
情報検索方式による類型では、
- ピュア・P2P
- ハイブリッド・P2P
- スーパーノード・P2P
と三つに分ける事が出来ます。
構成 | 概要 | |
---|---|---|
ピュア・P2P | 検索・データ転送などは全てP2P ・自律分散型システム ・各ノードはメッシュ状に接続 ・検索は隣接ノードを経由 ・検索結果に確実性がない ・データ転送が完了しない場合がある メリット ・スケーラビリティが高い ・自律分散型であり耐障害性が高い ・アドホック性が高い デメリット 大規模化に伴い、ネットワークへの検索負荷が増大 |
|
ハイブリッド・P2P | データ・・・インデックスサーバが保持 データ検索・・・各ノードがクライアント・サーバ・モデルのインデックスサーバにデータの所在を問合せ データ転送・・・P2Pで実行 メリット システムの管理・制御が可能 デメリット データ検索はクライアント・サーバ・モデルで ・システムの耐障害性が低い ・スケーラビリティは、ピュアP2Pに劣る |
|
スーパーノード・P2P | データ検索・保持・・・処理能力の高いノードが実行。一般ノードは、検索情報などを保持しない メリット ・ピュア・P2P ・ハイブリッド・P2P 両方のメリットを併せ持つ デメリット データ検索・保持の分散化等の実装が困難 |
データ送受信方式による類型
データ送受信方式による類型では、
- ノード中継・モデル
- ピュア・P2P
と二つに分ける事が出来ます。
検索方式 | データ送受信方式 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|---|
ノード中継・モデル | ・ピュア・P2P ・ハイブリッド・P2P ・スーパーノード・P2P の検索方式に依存しない | ノードを中継に使用 | ・冗長経路を持てる ・中継するノードにはキャッシュが残り、分散ダウンロードが可能 | ・中継するノードに負荷がかかる ・P2Pルーティングの実装が必要 |
ピュア・P2P | ノード間で直接通信 | ・他のノードに負荷がかからない ・複雑なP2Pルーティング技術が不要 | ・冗長経路を持てない |
P2Pアプリケーションによる類型
P2Pアプリケーションによる類型では、ノード間で何を行うかという観点から
- 一対一通信型
- 放送型
- オンデマンド型
- 分散型データ管理
の四つのアプリケーション型に分けられます。
一対一通信型
一対一通信型のP2PモデルLINE電話やSkypeに代表されるように、ノード間で一対一のコミュニケーションを行う使い方です。
相手のIPアドレスを
- 電話番号
- ニックネーム 等
から見つけ出し、ノード間で対等の立場で通信を行います。
実際のSkypeのシステム構成の一部は下図の様になっています。
放送型
放送型のP2Pモデルでは、ノード間接続を多段階層化し、配信ツリーを形成することで放送型サービスが実現出来ます。
放送型サービスの流れは
- 配信ツリーの根元のノードが放送局
- 上流ノードから下流ノードへデータをバケツリレー
- 参加ノードに、ほぼ同時に同じデータを配信
となります。
オンデマンド型
オンデマンド型のP2Pモデルではコンテンツを欲するノードが、
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