国際収支統計・経常収支・金融収支とは?詳細を説明する
国際収支統計(Balance Of Payments)は、一定期間における一国のあらゆる対外経済取引を体系的に記録した統計です。
居住者と非居住者との間で行われた取引の内容に応じ、
- 経常収支(Current Account)・・・財貨・サービス・所得の取引や経常移転を記録
- 金融収支(Financial Account)・・・対外金融資産・負債の増減に関する取引を記録
- 資本移転等収支(Capital Account)・・・生産資産(財貨、サービス)・金融資産以外の資産の取引や資本移転を記録
に分類され、以下の関係となります。
経常収支(Current Account) + 資本移転等収支(Capital Account) + 誤差脱漏 = 金融収支(Financial Account)
経常収支
経常収支(Current Account)は、
- 貿易・サービス収支(Balance Of Trade)
- 第一次所得収支(Primary Income)
- 第二次所得収支(Secondary Income)
から構成されており、以下の式が成立します。
経常収支(Current Account) = 貿易・サービス収支(Balance Of Trade) + 第一次所得収支(Primary Income) + 第二次所得収支(Secondary Income)
貿易・サービス収支
貿易(輸出 ー 輸入)・サービス収支(Balance Of Trade)は、生産活動の成果である諸品目の取引を計上します。
貿易収支
貿易収支(Visible Trade)は、財貨の取引(輸出入)を計上する項目です。
原則として居住者・非居住者間で財貨の所有権が移転した取引をFOB価格で計上します。
具体的な取引計上は、
- 一般商品(General merchandise)
- 仲介貿易商品(merchanting)
- 非貨幣用金(Non-monetary gold)
と区分されています。
貿易統計 | 国際収支統計(一般商品) | |
---|---|---|
建値 | 輸出:FOB 建て 輸入:CIF 建て | 輸出入とも:FOB 建て |
計上範囲 | 所有権の有無に関係なく、日本の関税境界を通過した財貨 | 居住者・非居住者間で所 有権が移転した財貨 |
計上時期 | 輸出:積載船舶または航空機が 出発する日 輸入:輸入が承認された日 | 輸出入とも:所有権が移 転した日 |
サービス収支
サービス収支(Invisible Trade)は、
- 輸送(Transport)
- 旅行(Travel)
- その他のサービス(Other Service)
があります。
輸送
輸送(Transport)には、居住者(非居住者)が非居住者(居住者)のために行った、
- 旅客の運搬
- 財貨の移動
- 乗員を含む輸送手段のチャーター等々
全ての輸送サービスに関する取引を計上します。
輸送手段(海上運送、旅客運送、その他)及びサービスの内容(旅客、貨物、その他)の区分に基づいて内訳項目が設けられています。
旅行
旅行(Travel)には、本邦の居住者(非居住者)が外国を訪問中に享受した財貨・サービスを支払、逆に非居住者がわが国で享受した財貨・サービスを受取に計上します。
なお、旅客運賃は輸送に分類されます。
旅行はその目的に従って
- 「業務」
- 「業務外」
- 教育
- その他
に区分されます。
その他のサービス
その他のサービス(Other Service)には、輸送、旅行に属さない全てのサービスを含み、
- 委託加工サービス(Manufacturing services on physical inputs owned by others)
- 維持修理サービス(Maintenance and repair services)
- 建設(Construction)
- 保険・年金サービス(Insurance and pension services Insurance and pension services)
- 金融サービス(Financial services)
- 知的財産権等使用料(Charges for the use of intellectual property)
- 通信・コンピュータ・情報サービス(Telecommunications, computer, and information services)
- その他業務サービス(Other business services)
- 個人・文化・娯楽サービス(Personal, cultural and educational services Personal, cultural and educational services)
- 公的サービス等(Government goods and services)
を計上します。
委託加工サービス
財貨の所有者が他の企業に加工、組立等を委託した場合の手数料を計上します。
例えば、
- 石油の精製
- 天然ガスの液化
- 衣類の縫製
- 電子機器の組立等々
の手数料が挙げられます。
維持修理サービス
非居住者が所有する財貨について居住者が行った維持修理、および居住者が所有する財貨について非居住者が行った維持修理を計上します。
例えば、
- 船舶や航空機といった動産の修理・保守点検
- 商品の売買契約に基づいて販売元が負担するアフターサービス(例えば、保証期間内の修理、保守)
があります。
建設
居住者が外国で行った、または非居住者がわが国の国内で行った建設・据付工事に係る取引を計上します。
- 現地や第三国で調達した資材に対する支出
- 下請けに発注した際の工事代金
- 現地工事事務所等で支出する経常的経費(現地スタッフの人件費、光熱費、消耗品代等)
を含みます。
例えば、居住者が外国で建設工事を行う場合、現地でかかる
- 資材費
- 人件費
- 設備費等
の支払を「支払」に計上し、現地施主から受け取る工事代金を「受取」に計上します。
保険・年金サービス
様々な形態の保険や年金を提供するサービスのほか、これに付随するサービスの取引を計上します。
保険サービスの対価は、大まかな仕組みとしては、契約者が保険会社に支払う保険料から契約者が受け取る保険金を差し引いた、保険会社の取り分に相当します。
金融サービス
金融仲介およびこれに付随するサービスの取引を計上します。
例えば、
- 信用状開設
- 融資枠設定、保証
- 外国為替等の銀行業務に係る手数料
- 証券取引、デリバティブ取引、資産管理に係る手数料
- 遅延損害金や期限前返済の手数料
があります。
知的財産権等使用料
- 研究開発やマーケティングによって生じた財産権の使用料
- 著作物の複製・頒布権料
- 上映・放映権料等
を計上します。
通信・コンピュータ・情報サービス
IT(情報技術)に関連したサービス取引を計上します。
この項目は、さらに
- 通信サービス
- コンピュータサービス
- 情報サービス
に区分します。
その他業務サービス
上記以外の様々な事業者向けサービスの取引を計上します。
この項目は、さらに
- 研究開発サービス
- 専門・経営コンサルティングサービス
- 技術・貿易関連・その他業務サービス
に区分します。
個人・文化・娯楽サービス
個人向けサービスや文化・娯楽に関連したサービスの取引を計上します。
この項目は、さらに
- 音響映像・関連サービス
- その他個人・文化・娯楽サービス
に区分します。
公的サービス等
在外公館や駐留軍の経費のほか、政府や国際機関が行うサービス取引のうち他の項目に該当しないものを計上します。
自衛隊による海外での支援活動等を含みます。
第一次所得収支
第一次所得収支(Primary Income)は、生産過程に関連した所得および財産所得を計上します。
- 雇用者報酬(Labor Income)
- 投資収益(Investment Income)
- その他第一次所得(Other Primary Income)
に区分されます。
第一次所得収支(Primary Income) = 雇用者報酬(Labor Income) + 投資収益(Investment Income) + その他第一次所得(Other Primary Income)
雇用者報酬
企業と雇用関係にある個人が労働の対価として得た報酬を計上します。
雇用関係がない場合は、自営の個人が提供するサービスとして扱います。
「雇用者報酬」の主な事例としては、
- 在外日本公館が現地職員に支払う給与
- 在日外国公館から居住者が受け取る給与
- 居住者が運航する船舶や航空機で働いている非居住者乗務員に支払われる給与
- 非居住者が運航する船舶や航空機で働いている居住者乗務員が受け取る給与等々
があります。
投資収益
対外金融資産提供の対価である配当金や利子等を計上します。
- 直接投資収益(Direct Investment Income)
- 証券投資収益(Portfolio Investment Income)
- その他投資収益(Other Investment Income)
から構成されます。
投資収益(Investment Income) = 直接投資収益(Direct Investment Income) + 証券投資収益(Portfolio Investment Income) + その他投資収益(Other Investment Income)
直接投資収益
直接投資収益(Direct Investment Income)とは、直接投資の資産負債から生じる投資収益を計上します。
所得の源泉となった直接投資の形態により、
- 出資所得(Income on equity and investment fund shares)
- 配当金・配分済支店収益(Dividends and withdrawals from income of quasi-corporations)
- 再投資収益(Reinvested earnings (direct investor in direct investment enterprises))
- 利子所得(Interest)
に区分します。
出資所得
出資所得は、
- 配当金・配分済支店収益(Dividends and withdrawals from income of quasi-corporations)
- 再投資収益(Reinvested earnings (direct investor in direct investment enterprises))
に区別されます。
配当金・配分済支店収益(Dividends and withdrawals from income of quasi-corporations)とは、
- 直接投資家と直接投資企業の間で受払された利益配当金
- 支店の収益のうち本社に送金されたもの
を指します。
一方、再投資収益(Reinvested earnings (direct investor in direct investment enterprises))とは、直接投資企業が稼得した営業利益のうち、投資家に配分されずに内部留保として積み立てられたものを投資家に帰属する持分とみなし、その持分が一旦投資家に配分された後、直ちに再投資されたものを指します。
利子所得
利子所得(Interest)とは、直接投資家と直接投資先(間接出資先を含みます)との間および兄弟会社間の
- 貸付・借入利子
- 債券利子
を計上します。
証券投資収益
証券投資収益(Portfolio Investment Income)とは、配当金や債券利子のうち、「直接投資収益」に該当しないものを計上します。
- 配当金(Investment income on equity and investment fund shares)
- 株式に係る配当金(Dividends on equity excluding investment fund shares)
- 投資ファンド持分に係る投資収益(Investment income attributable to investment fund shareholders)
- 債券利子(Interest)
- 中長期債
- 短期債
に区分します。
配当金
配当金は、
- 株式に係る配当金(Dividends on equity excluding investment fund shares)・・・「直接投資収益」に該当するものを除いた、株式に係る利益配当金
- 投資ファンド持分に係る投資収益(Investment income attributable to investment fund shareholders)・・・「直接投資収益」に該当するものを除いた、投資信託(会社型、契約型の双方を含みます)の収益分配金
を計上します。
債券利子
「直接投資収益」に該当するものを除いた債券利子を、
- 中長期債
- 短期債
に区分して計上します。
その他投資収益
その他投資収益(Other Investment Income)では、「直接投資収益」や「証券投資収益」に該当しない投資収益を計上します。
- 出資所得(Investment income attributable to policyholders in insurance, pension schemes, and standardized guarantees)・・・パートナーシップ・組合等の団体に対する出資から生じる収益分配金等
- 利子所得(Interest)
に区分します。
その他第一次所得
その他第一次所得(Other Primary Income)とは、
- 天然資源の賃貸料(鉱業権の使用料等)
- 生産物・生産に課される税(石油・天然ガス等の採掘量・油価等に応じて課される税金等)
- 補助金
を計上します。
第二次所得収支
第二次所得収支(secondary income)は、 居住者と非居住者との間の対価を伴わない経常移転による所得の再配分を計上します。
国際収支統計は複式計上を採用しており、無償で提供されたものと見合う価値をこの項目に記録します。
居住者の部門によって
- 一般政府(General government)
- 一般政府以外
に区分します。
一般政府
政府等(中央政府のほか、地方政府、社会保障基金を含む)による経常移転取引を計上します。
日本では、
- 無償資金協力
- 国際機関分担金等
という内訳項目を独自に設けています。
このほか、
- 社会保険料の受取
- 社会保険金の支払
- 非居住者の所得等に課す経常税の受取
- 還付金の支払
を含みます。
一般政府以外
- 個人間移転(Personal transfers)
- その他経常移転(Other current transfers)
に区分されます。
「個人間移転」には、労働者送金(外国で雇用され、その国で居住者として扱われることとなった個人が、そこで稼得した報酬を出身国等にいる家族や親族に対して送金するケース)等を計上します。
「その他経常移転」には、
- 個人間以外の贈与・損害賠償金
- 民間の災害救助
- 海外支店等の社員に対する本社からの給与支払
- 非生命保険の保険料・保険金の受払
- 慈善・宗教・科学・文化関連の各団体に対する定期的な拠出等
を計上します。
居住者が所得等に対して外国政府から課される経常税や還付金の受払も含みます。
資本移転等収支
資本移転等収支(Capital Account)では、
- 資本移転(Capital Transfer)
- 非金融非生産資産の取得処分(acquisition and disposal of non-produced non-financial assets)
を区別して計上します。
資本移転
資本移転(Capital Transfer)では、
- 資産(現金、在庫を除く)の所有権移転を伴う移転
- 当事者の少なくとも一方が資産(同)を取得しまたは処分する義務を負う移転(例、投資贈与)
- 債務免除(Debt forgiveness)
を計上します。
非金融非生産資産の取得処分
非金融非生産資産の取得処分(acquisition and disposal of non-produced non-financial assets)では、
- 天然資源(鉱業権、土地等)
- 経済資産として認識される契約
- リース・ライセンス(排出権、移籍金等)
- マーケティング資産(商標権等)の取引
を計上します。
金融収支
金融収支(Financial Account)では、対外金融資産負債に係る取引を計上します。
金融収支(Financial Account)は
- 直接投資(Direct Investment)
- 証券投資(Portfolio Investment)
- 金融派生商品(Financial Derivatives)
- その他投資(Other Investment)
- 外貨準備(Reserve Assets)
から構成されており、以下の式が成立します。
金融収支(Financial Account) = 直接投資(Direct Investment) + 証券投資(Portfolio Investment) + 金融派生商品(Financial Derivatives) + その他投資(Other Investment) + 外貨準備(Reserve Assets)
直接投資
直接投資(Direct Investment)には、直接投資関係を設立する当初の取引および直接投資関係にある者の間で行われるその後のすべての取引を計上します。
取引は、投下資本の形態に応じて、
- 株式資本(Equity and investment fund shares)
- 収益の再投資(Reinvestment of earnings (direct investor in direct investment enterprises))
- 負債性資本(Debt instruments)
に区分します。
株式資本
- 直接投資企業の株式(Direct investor in direct investment enterprises)
- 支店の出資持分およびその他の資本拠出金
- 子会社が親会社の株式を取得(Direct investment enterprises in direct investor (reverse investment))
- 子会社の10%未満の議決権の取得(Between fellow enterprises)
- 居住者による海外の不動産売買および非居住者による国内の不動産売買
を計上します(資本準備金も含みます)。
収益の再投資
直接投資企業の未配分収益のうち、直接投資家の出資比率に応じた取り分を計上します。
直接投資企業の未配分収益は、いったん直接投資家に配分されたあと、再び当該投資家によって資本投下されたものとみなして計上するため、この項目には「直接投資収益」に計上した「再投資収益」と同額を計上します。
負債性資本
直接投資関係にある当事者間の資金貸借や債券の取得処分等を計上します。
証券投資
証券投資(Portfolio Investment)では、株式や債券は、
- 「資産」・・・非居住者発行証券の取引
- 「負債」・・・居住者発行証券の取引
に区別され、且つ「直接投資」や「外貨準備」に該当しないものを計上します。
証券投資の「資産」と「負債」は、それぞれ証券種類に応じて
- 株式・投資ファンド持分(株式・投資ファンド持分)
- 株式・・・上場、非上場を問わない株式の取引
- 投資ファンド持分・・・投資信託の取引。但し、会社型投資信託に対する投資が議決権の 10%以上となる場合は、「直接投資」の「株式資本」に計上
- 債券(Debt securities)
- 中長期債・・・発行から満期までの期間が1年超の証券の取引
- 短期債・・・発行から満期までの期間が1年以下の証券の取引
に区分します。
金融派生商品
金融派生商品(Financial Derivatives)とは、他の金融商品や指数、商品に連動する金融商品です。
金融派生商品を通じて、金融リスクである、
- 金利リスク
- 為替リスク
- 株価・商品価格リスク
- 信用リスク等
を金融市場で取引することができます。
具体的には、
- オプションのプレミアム・売買差損益
- 新株予約権等
- 先物・先渡取引の売買差損益
- 通貨スワップの元本交換差額
- スワップ取引の金利・配当金・キャピタルゲイン等
を計上します。
その他投資
その他投資(Other Investment)は、
- 直接投資(Direct Investment)
- 証券投資(Portfolio Investment)
- 金融派生商品(Financial Derivatives)
- 外貨準備(Reserve Assets)
のいずれにも該当しない金融取引をすべて計上します。
また、
- 居住者の債権に係る対外取引・・・「資産」
- 居住者の債務に係る対外取引・・・「負債」
と計上され、
- 持分(Equity)
- 現・預金(Currency and deposits)
- 貸付/借入(Loans)
- 保険・年金準備金(Insurance, pension and standardized guarantee schemes)
- 貿易信用・前払(Trade credit and advances Trade credit and advances)
- その他資産/その他負債(Other accounts payable/receivable)
- 特別引出権(SDR)<負債のみ>(Special Drawing Rights)
に区分されます。
持分
持分(Equity)は、証券の形態を取らず、かつ、「直接投資」にも「外貨準備」にも該当しない持分の取引を計上します。
現・預金
現・預金(Currency and deposits)は、
- 現金・・・一般に支払手段として使用されている流通貨幣
- 預金・・・決済機能のある要求払預金のほか、流通性のない預金証書で表されるあらゆる債権の取引
を計上します。
貸付/借入
貸付/借入(Loans)は、貸し手(債権者)が直接借り手(債務者)に資金を貸与することによって生じた、流通性のない書面で証明される金融資産を計上します。
保険・年金準備金
保険・年金準備金(Insurance, pension and standardized guarantee schemes)では、
- 非生命保険契約
- 生命保険契約・年金制度
に区別します。
非生命保険契約において、通常、保険料は保険期間の開始前に支払われる一方、保険金は保険事故の発生後に支払われます。
保険会社は、
- 保険料の前払
- 事故発生済未払の保険金に応じた準備金
を認識しています。
国際収支マニュアルでは、この準備金を保険会社の負債(保険契約者の資産)として扱い、その変動を金融取引として計上することとしています。
また、生命保険契約や年金制度についても、同様に、準備金の変動(受取人や契約者に対する推計債務の期中発生分)を金融取引として計上することとしています。
貿易信用・前払
貿易信用・前払(Trade credit and advances Trade credit and advances)では、
- 輸出者が直接取引の相手方への信用供与
- 前払金・前受金の授受
に係る債権・債務の発生・消滅を計上します。
その他資産/その他負債
その他資産/その他負債(Other accounts payable/receivable)では、
- 「貿易信用・前払」
- その他の金融商品
に該当しない未収金や未払金を計上します。
例えば、証券投資については約定時点で取引を計上していることから、証券取引の約定と決済の期ずれによって生じる未収・未払金をこの項目に計上します。
また、保険金の支払や保証の履行に伴って発生した求償権も含みます。
特別引出権(SDR)<負債のみ>
特別引出権(SDR)<負債のみ>(Special Drawing Rights)とは、IMF が創設した対外準備資産です。
IMF から加盟国が SDR の配分を受けた場合、加盟国は、「外貨準備」の「特別引出権(SDR)」に資産の増加を計上するとともに、この項目に負債の発生を計上します。
各国は、国際収支が悪化した場合に SDR と引換えに他国から外貨を入手することができるほか、取引や決済に直接使用することもで
きます。
国際収支統計には、他国との受払のほか、IMF による配分を計上します。
外貨準備
外貨準備(Reserve Assets)とは、通貨当局の管理下にあり、国際収支のファイナンスや為替介入のために直ちに利用できる対外資産を計上します。
日本の国際収支統計では、
- 外国為替特別会計
- 日本銀行
が保有する資産で、外貨準備として保有されているものの増減を計上します。
外貨準備(Reserve Assets)の具体的な資産には
- 貨幣用金(Monetary gold)・・・通貨当局が外貨準備として保有する金
- 特別引出権(SDR)(Special drawing rights)
- IMF リザーブポジション(Reserve position in the IMF)・・・加盟国が引出可能であるリザーブトランシュと、IMF が随時返済を保証した借入協定に基づく対 IMF 貸付債権
- その他外貨準備(Other reserve assets)・・・証券や預金等
があります。
リザーブトランシュの引出は加盟国が自由に行うことができ、手数料や買戻しの義務も課せられないことから、「通貨当局が制約なしに使用することができる準備資産」として外貨準備に該当します。
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